街に出て観よう!

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立川談春 居残り佐平次観て来ました!(2017年1月)

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立川談春 居残り佐平次 観て来ました!

(2017年1月) 敬称略

 

寒空の下、仕事帰りに

 

いつもとは違う方向、東京の南に向かう。

 

品川駅すぐのプリンスホテル内にある

 

クラブEXで談春の落語を聞くために。

 

クラブEX, 以前はマジックショーなんか

 

よくやっていた劇場なんですが

 

落語もやるんですね。

 

昨年の1月も談春の独演会を

 

聞きに行ったので

 

2年連続で1月に談春落語を

 

聞くことになります。

 

今回の独演会で目当ての

 

演目は居残り佐平次

 

落語を知っている方には

 

釈迦に説法なのですが

 

ちょっとだけ居残り佐平次の解説を

 

居残り佐平次、実はこの話を

 

知ったのは、映画からでした。

 

川島雄三監督の

 

幕末太陽伝を映画で見た時

 

若きフランキー堺の才能を存分に

 

発揮した作品として見たのです。

 

フランキーの演技の面白さも

 

いいのですが、ストーリーの

 

面白さにびっくりしました。

 

そしてこの映画の元ネタが

 

落語 居残り佐平次だと知り

 

それから談春の師匠

 

談志の居残り佐平次

 

落語で聞いて、落語の面白さを

 

知った演目です。

 

なので、個人的にはかなり楽しみな

 

落語会なのです。

 

談春の落語、独演会の特徴は

 

演目を最初に発表するところだと

 

思います。

 

落語を見に行ったことがない方は

 

普通は演目を前もって知らせるんじゃ

 

ないの?なんて思うかもしれませんが

 

真打になると、即興で20近くの落語を

 

披露できるらしいです。

 

なので、客の反応を見たり、

 

演じている場所で演目を変えるようです。

 

前もって発表しちゃうと筋が読めて

 

観客がさめてしまうのもあるようです。

 

ただ、そうなるとこの話聞きたいのに

 

聞けないというデメリットも出てくるわけで

 

談春のように初めから演目を教えて

 

くれる独演会もあっていいと思います。

 

演目をあらかじめ発表するのは

 

立川一門の噺家さんに多いような気が

 

します。

 

で、感想は?

 

まずは前座、二つ目の立川こはる

 

 

この方は女の方で、まくらは

 

師匠の師匠にあたる談志との

 

エピソード。昨年と同じ話でした。

 

演目は雛鍔(ひなつば)

 

武士の子息が天保銭を知らず

 

(お金を見たことがない。)

 

穴の空いた天保銭を見て

 

雛人形の刀の鍔(つば)か?と

 

子供らしいことを言うことに

 

感心する、滑稽話です。

 

そつなく、こなすところは

 

談春門下で厳しい修行の賜物。

 

前座ですが、安心して見ていられました。

 

談春は立川門下の中でも一番弟子に

 

厳しいと言われている師匠で

 

5年たっても二つ目に昇進できない

 

弟子は破門しています。

 

弟子にやさしい立川志らくとは

 

対照的で、志らくは破門とは言わず

 

卒業という言葉で落語家廃業の弟子に

 

気をつかっているようです。

 

落語家で食べて行けるのはせいぜい

 

100人くらいなので、将来その中に

 

残れる才能があるかどうかを師匠が

 

見極めるのも大切かなと思います。

 

そのため、談春の弟子は現在二人

 

そのほかの弟子はすべてやめたようです。

 

こはるが終わると、真打登場!

 

 

まずは客層を見る。いつもの高座に比べて

 

客層が若く、女性が多い。

 

まくらは弟子のこはるの落語の評価と

 

弟子がみんなやめてしまった話で

 

笑わしたあと、まくら短めですぐに

 

ネタに入る。演目は厩火事

 

夫婦の離縁のこじれ話を聞いた

 

仲人が中国の論語孔子の話と

 

日本の殿様の身近な話に例えて

 

夫婦仲をとりもつ、滑稽話。

 

最初のおかみさんが仲人の兄

 

の家に駆けこむくだりは面白いの

 

だが、それから話がだれて来て

 

隣のオッサンは疲れて寝始める。

(前列4列目の真ん中で寝るんだから

図々しい。)

 

本題に戻すも、聞き手も疲れている

 

せいか、話のテンポも悪いせいか

 

一番面白いところでも笑いが少ない。

 

最後のオチもすんなり落ちない。

 

元の話を調べてみると

 

前半部分を引っ張り過ぎた感あり。

 

本来ならもう少し、あっさりした話なのに。

 

まぁ、前話はご愛敬っていうことで

 

休憩のあと いよいよ居残り佐平次

 

すぐにネタを話すのかと思ったら

 

居残り佐平次は長いので

 

時計を見ないで下さいとのこと。

 

前日の客で最前列に座っていた

 

客が時計をやたらに気にしてた

 

ようです。

 

確かに一生懸命に話をしているのに

 

時計を何度も見られたら、演者は

 

気分害するよね。

 

多分、女性と食事の待ち合わせでも

 

していて、その時間に間に合うか

 

気になってたんじゃないだろうか。

 

あと、前話でやった厩火事の反省。

 

なんか、かなり久しぶりに演じた

 

ようです。

 

得意なネタを披露するのもいいけど

 

普段やってないのも、やってみるかと

 

思って始めちゃったらしいのですが

 

途中で、話の筋の嚙み合わないところに

 

気が付いていたけど、そのまま

 

勢いで演じ切ったようです。

 

さすが、噺家さんですね。

 

察するに

 

多分、話のペース配分を間違えたんじゃ

 

ないかと思います。

 

そして、居残り佐平次

 

この立川流居残り佐平次

 

師匠談志が作り上げたキャラで

 

江戸のダークヒーローでアウトロー

 

この談志だからできるキャラを

 

弟子の談春ができるのか?

 

正直、談志の演じる佐平次は

 

フランキー堺を演じる佐平次より

 

悪いキャラなんです。

 

悪いキャラなんだけど、憎めない

 

ここをどううまく演じるかが

 

立川流佐平次の魅力だと思います。

 

志ん生から志ん朝に受け継がれた

 

佐平次はフランキー堺に近い。)

 

で、談春の佐平次はどうか?

 

落語はナマで、TVやyou tube ビデオでは

 

伝わりくい。

 

談志の佐平次をナマで聞けなかった

 

自分としては

 

弟子の談春の佐平次は大満足でした!

 

多分、佐平次は今生きている噺家の中で

 

一番だと思いました。

 

談春は俳優の才能のなる噺家だと

 

以前書いたのですが

 

俳優を演じる時

 

この人は悪役をやった方が光る

 

タイプの役者だと思います。

 

悪の顔と道化師の顔を使い分ける

 

才能があります。

 

久しぶりに落語を観て

 

涙が止まらなかったです。

 

談春師匠、ただものではない!

 

立川一門の中では一番うまいです。

 

大満足で帰りました。

 

ふと時計を見ると21時40分

 

3時間10分あまりの独演会は

 

初めての体験でした。

 

(いやー談春、2回目だったけど

 

良かった。久しぶりに芸の真髄を

 

観た心境です。次回は芝浜聞きたい

 

です。隣で寝ていた失礼なオッサン

 

、実は同僚なんですが、佐平次は

 

面白かったようで結構笑ってました。)