街に出て観よう!

街に出て、コンサート、演劇、歌舞伎、落語などを鑑賞した感想を書いたブログです。

師走に聞く、創作落語 歓喜の歌(2017年12月)

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師走にぴったりな創作落語

 

立川志の輔 歓喜の歌(2017年12月)

(敬称略)

 

創作落語で一番面白い噺家は誰か?

 

自分は、志の輔だと思います。

 

落語は噺のクラシックなので

 

自分が始めたと言っても

 

誰かがその話を次いでくれないと

 

残らないのです。

 

圓朝が作って、始めたと言われる

 

死神真景重ヶ淵なども

 

弟子や他の噺家が次いで語ったので

 

今こうして平成の世でも聞けるのです。

 

そこで、現代の創作落語で残る可能性の

 

ある作品は?

 

そのうちの一つに歓喜の歌はあり得ると

 

思います。

 

劇場がこの世の中から無くならない限り

 

後世の人にも伝わる筋だからです。

 

12月の師走、先生が走るなんて言葉も

 

これからはみんなわからなくなるので

 

はないでしょうか?

 

そんな12月にぴったりの創作落語

 

この歓喜の歌です。

 

演劇にも映画にもなっています。

 

志の輔の演じる創作落語

 

落語というよりは一人芝居に近い

 

のですが、中々よくできています。

 

2004年に渋谷のパルコ劇場で初演し

 

それからしばらくやって

 

なかったそうですが

 

ここ数年は年の暮れに演じてくれて

 

います。

 

昨年はチケット取れなかったんですが

 

今年は何とかチケットゲットして

 

六本木シアターEXまで行って来ました。

 

まずはディアファミリー

 

勤続30周年の祝いに社長から

 

鹿のはく製をもらった家族の悲哀を

 

滑稽噺にしています。

 

次いで歓喜の歌

 

歓喜の歌、ベートーベンの有名な曲

 

です。(年末に歌う第九です。)

 

晦日の日に公民館で主婦のコーラス

 

グループがコンサートを開く。

 

それを管理している公民館の

 

主任と職員のハプニングを

 

面白おかしく描いた人情話です。

 

ディアファミリーも歓喜の歌も

 

実話をもとにして、作ったんじゃないかと

 

思わせるほど、リアリティにとんでます。

 

このリアリズムが志の輔創作落語

 

真髄じゃないかと思います。

 

興味のある方はyoutube でも聞けるので

 

志の輔歓喜の歌を聴いてみて下さい!

 

映画は落語でできている。 落語教育委員会(2019年5月)

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映画は落語でできている。

 

落語教育委員会 歌武蔵、喬太郎、兼好

(2019年5月)

敬称略 

 

映画のストーリー、プロットって

 

だいたい落語の中にあるんです。

 

漫画 デスノートも 死神 という落語を

 

元にしています。

 

落語を紹介しつつ、映画との共通点を

 

書いています。

 

半袖のシャツでも汗ばむような季節に

 

なった東京。

 

中野ゼロホールで落語教育委員会

 

という落語会に行って来ました。

 

今回で4回目の鑑賞になります。

 

まず最初に定番のコント。

 

今回は改元がテーマ。

 

開口一番は今年二つ目になった

 

金原亭馬太郎 題目は三人無筆

(向こう付け)

 

聞いたことなかった話です。

 

二人目は歌武蔵 演目は 莨の火

 

この話の冒頭の部分が

 

映画 千と千尋の神隠し で 

 

千が接待する 川の神 

 

オクサレ様とのシーンにそっくり

 

でした。

 

千=キハチ オクサレ様=謎の老人

 

のちに謎の老人の正体が明かされるの

 

ですが。

 

落語のプロットが映画で使われる

 

典型的な例です。

 

3人目 兼好 有名な話 ざらし

 

兼好らしく、明るく楽しく演じていました。

 

トリは喬太郎。最近CMで料理屋の

 

主人として出演しています。

演目は 縁切り榎 

 

縁切り榎は実際に板橋にあります。

 

この榎のエキスを煎じて飲むと

 

男女の縁が切れるという榎。

 

実際に縁切り榎の話をかなり改作

 

して演じていました。

 

植木等主演の 日本一の色男(1963)

 

石田純一主演の 愛と平成の色男(1989)

 

もこの落語を元に作ったかも知れません。

 

愛と平成の色男、調べて見ると

 

武田久美子財前直見鈴木保奈美

 

鈴木京香 など早々たるメンバーが

 

出演しています。

 

あと、映画ではないのですが

 

漫画 いなかっぺ大将

 

最終話で、花ちゃんと菊ちゃんの

 

 

両方からプロポーズされる大ちゃん。

 


ラストで両方一緒に結婚するなんて

 


子供じみた発想のオチなんですが

 


このオチは実は縁切り榎のオチと同じなんです。

 


落語を聞くと、話の元がわかるんです。

 


で、何で映画のストーリーの根幹部分に

 


落語のネタが多いかって言うと、

 


一つには人間の考えることは

 


今も昔も変わらない。

 


もう一つには落語は古典なので

 


ストーリーをそのままマネしても

 


誰にも文句が言われない。

 


なので、日本の小説家や

 


脚本家、演出家の方々には落語や

 


歌舞伎に精通している方がたくさん

 


いらっしゃるのです。

 


落語は話のクラッシックなんです。

 


Oヘンリー短編集なんて

 


落語になりそうな話がたくさん

 


転がっています。

 


話の根幹部分って今も昔も

 


そんなに変らないんですよね。

 

 

 

 

志らく主宰の演劇 下町ダニーローズ 不幸の正義の味方

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志らく主宰の劇団 下町ダニーローズ

 

不幸の正義の味方(2019年5月)

敬称略

 

やりたいことはわかるんだけど

 

うまく噛み合っていない作品。

 

そんな作品を、シベ超っぽいって


言ってます。

 

映画評論家 水野晴郎氏が

 

映画が好きすぎて、自らお金を集めて

 

作ってしまった シベリア超特急

まさに、志らくの演劇はシベ超なんです。

 

努力は認めるし、やりたいことは

 

非常にわかります。

 

でも、劇になっていないんです。

 

コント劇って言うのなら、ぴったしです。

 

やりたいことがありすぎて

 

頭の中で色々なことを取り入れて

 

しまい、ショートコントのつなぎの

 

ような演劇になってしまってるんです。

 

多分、志らくあんまり演劇見てないんじゃ

 

ないかなぁ。

 

少なくとも、三谷幸喜やつかこうへいとか

 

喜劇でも有名な脚本家の演劇は。

 

映画化された作品は見ていても

 

生で演劇をあまり見てないんじゃないかと。

(なぜなら、演出がコントの演出なんです。)

 

志らくの演劇、面白くないかって?

 

それが意外と面白いんです。

 

ストーリーは別として、ちゃんと笑わせて

 

くれます。

 

モロ師岡、劇では初見だったのですが

 

面白かったです。

 

この人は元々お笑い芸人なので

 

特に劇での笑いのツボは完璧でした。

 

暴走ぎみの志らくをうまくコントロール

 

して、笑いを取ってました。

 

モロ師岡がいなければ、この劇は

 

成り立たないと思います。

 

怖いものみたさで、初鑑賞でしたが

 

次回作も見てみたいと思いました。

 

へたに演劇ぽい作品にするより

 

お笑い重視のコント劇で次回も

 

作って欲しいです。

 

小津安二郎をコメディーにした

 

なんて言ってたから、もっと重い

 

劇なのかと思っていたら、

 

ノリはドリフのコントです。

 

次回作で、不幸の家族シリーズは

 

終わるそうです。

 

次回も暇なら行ってみたいと

 

思いました。

 

ぜんじろうキム兄などの

 

吉本芸人も出演していて

 

今後も吉本芸人と一緒にやって

 

行くのはいいことかと。)

 

(ストーリーをちょっとだけ紹介

 

すると、元自衛隊員だった中年男が

 

国家転覆をはかるテロリストを防ぐ

 

ために、自らを犠牲にして改造人間

 

となって戦う話です。

 

荒唐無稽なストーリーでどうなんの?

 

と思ったらやっぱり○○オチでした。

 

ここまで、話が大きくなるとこうなっちゃう

 

よねー、落語芝浜をモチーフにしたって

 

言ってましたが、多分これは落語

 

ねずみ穴をヒントにしたと思います。

 

冒頭のしみじみしたところ以外は

 

芝浜ぽくないです。)

 

 

 

 

 

 

 

 

立川談春 廓話の会 3日目(2017年5月)

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立川談春 廓話の会 三日目(2017年5月)

 以下敬称略

 

立川談春 廓話の会3日目

 

行って参りました。

 

本当は3日全部聞きたかったのですが

 

2日目がちょうどスポーツの日で

 

週1回火曜日は毎週スポーツをやる日に

 

しているのです。

 

ジョギングならいいのですが

 

皆を集めてバスケットボールをやる日

 

だったので、行けなかったのです。

 

そんで、2日目は聞けなかったわけで

 

そんで、3日目の感想は?

 

3日目は1日目と違って同じ金を払って

 

いるのに、3階席でした。

 

まぁ3階でも、ちゃんと見られるのですが

 

1階比べて、遠くなるわけで

 

これで同じ値段なのは、ちょっと不満。

 

まぁ、落語が面白ければねぇ。

 

っていうわけで 3日目の感想。

 

前座のこはる。錦明竹、女流落語家の

 

中でうまいと評判なだけあって

 

中々面白かったです。

 

師匠の談春は付き馬

 

付き馬とは吉原で遊んだ客が

 

勘定を払えない時に

 

馬を呼んで、それに乗せて

 

勘定をもらいうける習慣が

 

あったそうです。

 

それが時代を経て、付馬の代わりに

 

遊郭の若い衆が勘定を払えなくなった

 

者に付いて行って、勘定を取り立てる

 

ようになったとか。

 

例によって吉原での遊びが過ぎて

 

勘定を払えず、店の者が勘定を

 

取り立てに行く、その際にうまいところ

 

逃げてしまう滑稽話です。

 

話がちょっとややこしいので

 

そこらへんをうまく演じないと

 

面白くない話です。

 

談春は若い衆を演じるのが

 

うまいので、面白かったです。

 

ここで、中入り。

 

でも、パンフレットを見ると

 

次は立川雲水が出る予定なんだが

 

談春が段取りを間違えたらしく

 

中入りの後に雲水となりました。

 

雲水のネタは 堪忍袋

 

今、立川流真打で関西弁で

 

演じることができる噺家

 

この人しかいないんじゃないかと。

 

修行が厳しい立川流で真打になった

 

だけあって、実力があります。

 

兄弟子、志の輔談春と伝志会に

 

呼ばれるだけあって、うまいです。

 

今回の談春独演会で雲水の落語が聞けたのが

 

一番良かったかも知れません。

 

堪忍袋も中々面白く、関西弁独特の

 

やわらかい口調で、話をすすめて行く

 

江戸落語にはない面白さがありました。

 

ラストは談春の 木乃伊とり

 

道楽者の若旦那が吉原に行って

 

何日も帰って来ない。

 

そこで、番頭が行くが若旦那の策に

 

かかり、ミイラとりがミイラになる。

 

困り果てたあげく、使用人で

 

田舎者の清蔵を使いにやるのだが・・

 

3日目のラストにやるだけあって

 

談春のオハコか。

 

特に清蔵の田舎者ぶりが面白くて

 

中々のものでした。

 

落語を聞くと、お酒が飲みたくなる

 

特に日本酒が

 

その日も浅草の赤ちょうちん

 

釣られて、飲んで帰りました。

 

 

立川談春 廓話の会 1日目 (2017年5月)

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立川談春 廓話の会 

(2017年5月22日~24日)

(敬称略)

 

談春の独演会 廓話の会に行って来ました。

 

廓話とは遊郭のことです。

 

遊郭は主に吉原なんですが

 

品川や板橋、日本橋にもあった

 

そうです。

 

居残り佐平次なんかは

 

品川が舞台の廓話です。

 

何で廓話かと言うと

 

色恋沙汰には昔から面白い話が

 

たくさんあるからです。

 

今回は弟分の立川雲水が

 

出演しています。

 

まず、前座の 立川こはる

 

何かちょっと面倒くさそうでした。

 

理由はやっと前座から解放された

 

と思っていたら、また前座仕事を

 

させられたからです。

 

聞くと、弟子に厳しいと言われている

 

談春がまた弟子をクビにしたそうです。

 

何やら妹弟子のちはる

 

師匠を怒らせるどでかいことを

 

やらかしたらしいです。

 

一応奉公と言ってましたが

 

師匠の談春が企業に

 

お願いして、雇ってもらった

 

そうです。

 

事実上の再就職です。

 

よっぽど、根性が座ってないと

 

帰ってくることはないかと思います。

 

ので、こはるが前座仕事を

 

またやるようになりました。

 

他の弟子はいないのか?

 

ちはる の前にいたのですが 

 

ちはるが弟子になる前に

 

クビになったそうです。

 

一門の志らくとは対照的で

 

談春は弟子をほとんど

 

取らないんです。

 

さて、開口一番のこはるの

 

ネタは 元犬。

 

シロと言われる犬が

 

浅草寺に願をかけた甲斐が

 

あって、人間になるという

 

ファンタジックなストーリーです。

 

そつなく、こなしていましたが

 

どうもオチがよくわからない。

 

元犬のオチは最初に

 

かなり仕込んでおかないと

 

だめなオチなんですが

 

その仕込みを忘れた上に

 

オチのセリフも違ってた。

 

こはる は二つ目の中では

 

かなり優秀な噺家

 

結構ネタを持っているのです。

 

自分も同じネタを聞いたことが

 

ないんです。

 

(逆に円楽は何回か聞いたけど

 

まくらはいつも同じで、ネタも

 

二つくらいしかやってない。)

 

まぁ、中々かしこい女性噺家

 

だと思います。

 

次に師匠の談春

 

錦の袈裟

 

錦の褌を皆で絞めて

 

吉原で遊ぼうなんて

 

若い衆が考える滑稽話です。

 

今風に言ったら、ガテン系

 

男たちがみんな一緒に

 

金ぴかのシルクパンツをはいて

 

バカ踊りするなんて感じですか

 

まぁそれなりに楽しかったです。

 

そしてゲストの 立川雲水

 

 

この方は立川一門の武闘派で

 

ケンカ早いそうです。

 

ネタも夫婦ケンカの中を

 

取り持つために心学の先生に

 

教えを乞う男の話で

 

天災 です。

 

ケンカの話は関西弁でやると

 

迫力があって面白い。

 

この方の場合、関西弁が

 

ネタにうまく嚙み合っていて

 

中々面白かったです。

 

そして、ラストに談春の本ネタ

 

談春の独演会は1本目は

 

軽いネタで、2本目に大ネタを

 

持って来ます。

 

噺家によっては二つとも小ネタ

 

二つとも大ネタの人もいるし

 

3つやる噺家もいます。

 

談春はほとんどの独演会が

 

一つ目は軽いネタで

 

二つ目は大ネタです。

 

軽いネタは30分くらいで

 

終わります。

 

大ネタは1時間、場合によっては

 

1時間30分くらいやるので

 

何をやるのか、事前に教えている

 

場合が多いです。

 

さて廓話の第一に目の大ネタは

 

二階ぞめき

 

まくらでは ぞめき の説明から

 

入ります。

 

ぞめきとは冷やかしです。

 

冷やかしの語源は

 

紙屋が和紙を製造する際に

 

紙を冷やす間に

 

吉原に見物に行って

 

何もしないで、見物して

 

時間を潰すことから

 

来ていると言われています。

 

ぞめきは騒ぐから、来ている

 

らしいです。

 

どんな女がいるの

 

ちらちら見に行って

 

吉原界隈を散歩すると

 

同じような輩が結構いて

 

吉原に冷やかしに来ている

 

輩たちの騒々しい様子を

 

ぞめきと言ってるらしいです。

 

話の筋は

 

放蕩息子の問屋の若旦那

 

毎日のように吉原に通う。

 

困り果てた番頭が

 

好きな遊女を見受けして

 

近くに住まわすことを

 

提案する。

 

若旦那は遊女が好きなんじゃ

 

なくて、吉原が好きなんだと。

 

すると、番頭がだったら

 

住居の2階に吉原を作りましょう

 

と、大工に頼んで吉原の街を

 

2階に再現するという滑稽話。

 

いくら問屋の若旦那で

 

広い家に住んでいて

 

2階が広いと言っても

 

吉原を2階に作るなんて。

 

こんな馬鹿馬鹿しい

 

荒唐無稽な話を考えるなんて

 

落語の中でもスケールが

 

大きい話です。

 

どうせ、ホラ話なんだから

 

2階に動物園でも作っちゃえ

 

なんてやると、あんまり

 

面白くない。

 

吉原の街並みを作るなんて

 

男の馬鹿馬鹿しい発想だから

 

笑いが起こる。

 

元の話は吉原好きな若旦那が

 

お茶屋の暖簾かなんかを

 

2階に飾って、想像の中で

 

吉原の街並みを再現する

 

滑稽話だったそうです。

 

その話をもっとスケールを

 

大きくして一流の大工に

 

吉原の街を再現させる

 

そんな話にしたそうです。

 

なので、情景描写が非常に

 

難しい話で、そこを談春

 

情景描写のところは抑えて

 

2階の架空の吉原ランドで

 

一人楽しそうに一人空想芸を

 

楽しむ若旦那を中心に

 

話を構成していました。

 

大ネタだけあって

 

大笑いしたら、お腹が空いて

 

来て、浅草の夜の街へと

 

消えて行きました。

 

落語のあとのお酒は旨い!

 

観て来ました! 三谷幸喜新作劇 不信 彼女が嘘をつく理由(2017年3月)

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観て来ました!

 

不信~彼女が嘘をつく理由(2017年3月)

(敬称略)

 

今年の東京の桜の開花は本州では一番早く

 

3月21日でした。(ソメイヨシノの話ですが)

 

3月31日になっても、寒い天気が続いていて

 

中々満開にならないようですね。

 

そんな寒空の中、池袋の東京芸術劇場

 

に行って参りました。

 

芸術劇場は何度が

 

足を運んでいるのですが

 

ウェストで鑑賞するのは初めてでした。

 

ウェストは変わった作りになっていて

 

舞台真ん中を挟む形で

 

両側に観客があります。

 

大きな水槽を正面、向こう正面から

 

見るような感じで作られています。

 

なので、大掛かりな舞台装置を

 

使用する演劇に向きではなく

 

二人劇、少人数の小道具だけを

 

用いた演劇に適している劇場です。

 

なので、今回の演劇は

 

段田安則、優香、栗原英雄戸田恵子

 

の4人劇です。

 

そして、今回はサスペンスコメディー

 

なんです。

 

栗原、戸田夫婦VS段田、優香夫婦

 

の対決シーンも見どころなんですが

 

一番の見どころは

 

三谷幸喜の本格サスペンスに

 

挑戦した点だと思います。

 

今までのサスペンスは古畑任三郎

 

そうですが、コメディー要素が強い

 

作品が多く、本格的なサスペンスを

 

描いたのは、ひょっとしたら

 

初めてかも。

 

それも、サスペンスの上に

 

二組の仮面夫婦の心の闇を

 

暴く、ストーリーは向田邦子の作品を

 

意識したのかもしれません。

 

ただ向田邦子のストーリーの流れで

 

サスペンスにしたら

 

話が重すぎて、どんより、げんなり

 

しちゃうところを笑いの要素を

 

味付けに加えて仕上げた

 

三谷流サスペンスです。

 

いつもの三谷喜劇、ライトコメディーを

 

観に来た人はちょっと重かったの

 

かもしれません。

 

自分はこの手の作品好きなので

 

非常に面白かったです。

 

俳優陣では

 

優香、前回の酒と涙と、ジギルとハイド

 

の時よりもうまくなってました。

 

今後は三谷作品の重要な役割を

 

担ってくれる存在になるかもしれません。

 

栗原英雄は初鑑賞だったのですが

 

他の3人に比べて、一人だけまじまな

 

役で、笑いを取るシーンがなく

 

やりにくかったかもしれませんが

 

最後までシリアスな役を真面目に

 

演じている姿勢は立派でした。

 

他の3人がふざけていると

 

つい釣られて、アドリブで

 

笑いを取りに行こうとする

 

俳優がいますが、演出家の意図に

 

反する行為なので、その場では

 

受けても、見ていて気持ちのいい

 

ものではありません。

 

そう意味で、栗原の演技は共感を

 

持てました。

 

段田、戸田は相変わらず

 

うまく、両人とも三谷作品は久しぶり

 

だったそうで、特に段田は優香との

 

年の離れた夫婦役を楽しそうに

 

演じていました。

 

今年は夏から三谷幸喜のコメディー

 

子供の事情 が始まります。

 

これは、完全なライトコメディーのようなので

 

頑張ってチケットゲットしたいと思います。

初 野田秀樹演劇鑑賞!(2017年1月)

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初 野田秀樹演劇鑑賞!

 

足跡姫(2017年1月)(敬称略)

 

 

今回も寒空の下、池袋の東京芸術劇場

 

行って参りました。

 

前回のキャバレーの時のように

 

寒い中、待たされることもなく

 

すんなりと会場に入る。

 

東京芸術劇場は池袋にあり

 

近代的な建物の中に

 

コンサートホールと劇場がいくつかあり

 

そのうちの一つのプレイハウスという

 

劇場で観て来ました!

 

東京芸術劇場は何度か訪れていますが

 

プレイハウスでの演劇鑑賞は初めてでした。

 

今回は初野田秀樹ということもあり

 

どんな芝居を見せてくれるのか

 

楽しみです。

 

野田秀樹は演劇の脚本以外は

 

TVドラマも映画もやらないので

 

実際に劇場に足を運ばないと

 

見ることができない脚本家、演出家

 

なのです。

 

今回の足跡姫は18代目中村勘三郎

 

捧げる演劇ということもあって

 

気合が入った舞台になると思われます。

 

で、感想は?

 

まず、宮沢りえが足跡姫の主役なのですが

 

もう、自分の知っている

 

三井のリハウスのCM 白鳥麗子とは

(例えが古すぎて誰もわからない?)

 

かけ離れた立派な大人の女優になって

 

いたのにビックリです。

 

宮沢りえを観に行くだけでも

 

この演劇は価値があります。

 

共演の妻夫木聡

 

宮沢の弟役で出ています。

 

妻夫木に関しては、ドラマや映画と

 

ほとんど変わらない演技でした。

 

ある意味可もなく、不可もなく

 

そんなら、わざわざナマで観なくとも

 

いんじゃない?と思わされる。

 

これはどうなのか、まぁ正直言って

 

この役、妻夫木じゃなくてもいいような

 

主役なんだけど、妻夫木にとっては

 

ちょっと損な役かもしれません。

 

また妻夫木の

 

ナマの声も、TVや映画とそんなに

 

変わらないんです。そういう意味では

 

結構器用な俳優さんなのかも知れません。

 

(個人的には結構好きな俳優さんです。)

 

今回、特筆すべきは

 

古田新太、油井正雪の幽霊役で

 

美味しいところを演じています。

 

(油井正雪は徳川前期の3代将軍家光の

時の人物で幕府転覆をはかった謀反人)

 

最初は油井の死体の役でひょっとして

 

このまま死体で通すのか?

(死体の演技も中々良かった。)

 

と思ったら、幽霊になって出て来て

 

観客の笑いをさらってました。

 

古田のキャラが強烈なので

 

妻夫木がいくらおかしなことを

 

やっても、古田の姿に観客の

 

視線が集中して、

 

妻夫木の演じるサルワカは

 

狂言回し的な役になってしまいました。

 

ここでちょっとストーリーを紹介すると

 

足跡姫は

 

出雲の阿国の自称3-4代目を称する

 

宮沢が油井正雪の幽霊に出会って

 

油井の幽霊が呼び出した

 

霊界から来た足跡姫に阿国の体が

 

乗っ取られるホラーチックな演劇です。

 

随所に日本伝統芸能の能や歌舞伎を

 

取り入れた演出で、観客を不思議な世界

 

へ引き寄せて行きます。

 

野田の描く世界は、演劇の世界で

 

映像の世界ではないのですが

 

随所に華やかな演出があり

 

まるで、夢物語の世界をさまよっている

 

ような感じにさせる幻想的な舞台でした。

 

ラストに故勘三郎を偲ぶシーンがあり

 

舞台の中から勘三郎が現れて来るの

 

ではないかと思えるほど

 

印象深いシーンでした。

 

野田秀樹でしたが、中々面白かったです。

 

 

 

野田の演劇を観て感じたことは

 

この人の作品は映像化するのに

 

難しいなぁと思いました。

 

演劇のための演劇を書いている

 

脚本家なんだなぁと。

 

演劇作家なんだから当たり前なんですが

 

例えば三谷の場合、多少脚色すれば

 

映像化が十分可能な作品なのですが

 

野田の舞台は映画やTVでは表現するのが

 

難しく、舞台劇のための舞台なんだと

 

思いました。ここは歌舞伎にも通じるものが

 

あり、歌舞伎も映像として記録したものを

 

観ても、今一つでナマ舞台が一番。

 

野田秀樹勘三郎はこの点で気があった

 

のではないかと思います。

 

勘三郎は自分の演じる舞台を肉体劇

 

と言う言葉を使って表現していたよう

 

です。

 

肉体劇は何も残さず

 

ただ人々の記憶に残るだけ。

 

そんなことを生前よく語っていたようです。

 

野田秀樹の足跡姫、中々のものでした。

 

また行きたいと思いました。

 

(ラストシーン、多分本当にあった

 

話なんでしょうね。志半ばにして

 

病に倒れた勘三郎宮沢りえ演じる

 

足跡姫が重なって、もう一度舞台に

 

戻りたいという勘三郎の叫びが

 

聞こえて来るようでした。)